なぜSambaの設定を最初からやり直すことにしたのか
UbuntuとWindowsでSambaによるファイル共有を使っていると、
「一応つながってはいるけれど、本当にこれで正しいのか?」
と感じる場面が出てくることがあります。
私自身、以前の記事で紹介した設定でも、
WindowsからUbuntuの共有フォルダにアクセスでき、
ファイルの読み書きも問題なく行えていました。
それでも、使い続けるうちに、次のような状況になりました。
- 再起動すると、なぜか共有フォルダにアクセスできないことがある
- しばらく待つと直るが、理由はよく分からない
- 設定は変えていないのに、挙動が変わることがある
- 「今つながっている理由」を自分で説明できない
共有自体は成立しているのに、
トラブルが起きたときに落ち着いて原因を切り分けられない。
この状態を「安定して使えている」と言ってよいのか、
次第に疑問を感じるようになりました。
そこで今回は、
SambaとWindowsの設定をはじめから見直し、
長期的に安心して使える構成に作り直すことにしました。
今回の記事で目指すSamba共有のゴール
この記事では、
「とりあえずつながる設定」ではなく、
なぜその設定なのかを理解しながら作るSamba共有を目指します。
具体的なゴールは、次のとおりです。
- Ubuntu側・Windows側の両方を正しく設定している
- 再起動や環境変化があっても、挙動を想像できる
- 共有できないときに、確認すべき順番が分かる
- GUI任せにせず、設定内容を自分で把握できる
- 個人利用として、無理のない運用ができる
そのために、この記事では、
- Ubuntu側のSamba設定
- Windows11 Home側で必要な設定・確認
- コマンドの意味と、なぜその操作が必要なのか
を、一から順を追って解説していきます。
「設定を写して終わり」ではなく、
読んだあとに、自分の環境を説明できるようになることを
ゴールに進めていきます。
Ubuntu側のSamba設定(安定運用を前提にイチから)
ここからは、Ubuntu側のSamba設定をイチから行います。
目的は「とりあえず共有できる状態」ではなく、仕組みを理解したうえで、安定して使い続けられる構成を作ることです。
Ubuntu側では、GUI操作に頼らず、設定ファイルとコマンドを使って状態を把握できる形にします。
こうすることで、トラブルが起きたときにも「今どうなっているか」を自分で確認できます。
Sambaのインストール
まず、Samba本体をインストールします。
sudo apt update
sudo apt install samba
特別なオプションは不要です。
Ubuntu 24.04 では、この時点で必要なサービス一式がインストールされます。
インストール後、Sambaサービスが起動していることを確認します。
systemctl status smbd
active (running) になっていれば問題ありません。
共有用ディレクトリを作成する
次に、Windowsから共有するためのディレクトリを用意します。
ここでは例として、/srv/samba/share を使います。
sudo mkdir -p /srv/samba/share
このディレクトリを /home 配下ではなく /srv に置く理由は次のとおりです。
- 共有用途のディレクトリだと分かりやすい
- ユーザーのホームディレクトリと役割を分けられる
- 権限設定を整理しやすい
ディレクトリの権限を設定する
今回は「個人利用」を前提に、Ubuntuのログインユーザーをそのまま使って共有します。
sudo chown -R <ubuntuユーザー名>:<ubuntuユーザー名> /srv/samba/share
sudo chmod 755 /srv/samba/share
ここでは、無理に複雑な権限管理は行いません。
まずは分かりやすく、管理できる状態にすることを優先します。
Samba用ユーザーを設定する
Sambaでは、Linuxユーザーとは別に「Sambaユーザー」を登録します。
今回は、Ubuntuにログインしているユーザーをそのまま使います。
sudo smbpasswd -a <ubuntuユーザー名>
パスワードを求められるので、Windowsからアクセスするときに使うパスワードを設定します。
この操作で、
- Linuxユーザー
- Sambaユーザー
がひも付きます。
smb.conf を編集する
次に、Sambaの設定ファイルを編集します。
sudo nano /etc/samba/smb.conf
ファイルの末尾に、次の内容を追加します。
[share]
path = /srv/samba/share
browseable = yes
read only = no
valid users = <ubuntuユーザー名>
この設定の考え方は以下のとおりです。
path
→ 共有するディレクトリを明示するbrowseable = yes
→ Windowsから共有が見えるようにするread only = no
→ 書き込みを許可するvalid users
→ アクセスできるユーザーを限定する
最低限で、挙動が分かりやすい設定にしています。
設定ファイルの文法チェック
設定を保存したら、文法エラーがないか確認します。
testparm
エラーが出なければ、設定として問題ありません。
Sambaサービスを再起動する
設定を反映するため、Sambaを再起動します。
sudo systemctl restart smbd
これで、Ubuntu側の設定は完了です。
Ubuntu側で確認しておくポイント
この時点で、Ubuntu側として確認しておきたいことは次のとおりです。
smbdサービスが起動している- 共有ディレクトリのパスが正しい
- Sambaユーザーが登録されている
- 設定ファイルにエラーがない
ここまで整理できていれば、「Ubuntu側は正常な状態」と自分で説明できるようになります。
Windows11 Home側で行う設定と確認
Ubuntu側のSamba設定が正しくできていても、Windows側の前提が整っていないと「つながったり、つながらなかったりする」状態になりがちです。
ここでは、Windows11 Home側で最低限確認・設定しておくべきポイントを理由とあわせて整理します。
ネットワークの状態を確認する
まず、Windowsが「プライベートネットワーク」として接続されていることを確認します。
設定画面で、
- 設定
- ネットワークとインターネット
- 接続中のネットワーク
を開き、ネットワークプロファイルが「プライベート」になっているか確認します。
Samba共有は、Windowsがネットワークを「信頼できる」と認識していないと、正しく動作しない場合があります。
コマンドプロンプトでIPアドレスを確認する
次に、Windows側のIPアドレスを確認します。
スタートメニューから「cmd」または「コマンドプロンプト」を起動し、次のコマンドを実行します。
ipconfig
ここで確認したいのは、
- IPv4アドレス
- Ubuntuと同じネットワーク帯にいるか
です。
Ubuntu側のIPアドレスと、先頭の数値(例:192.168.x.x)が一致していればOKです。
Ubuntu側へ疎通確認を行う
WindowsからUbuntuに通信できるかを確認します。
ping <UbuntuのIPアドレス>
ここで、
- 応答が返ってくる
- タイムアウトしない
状態であれば、Windows → Ubuntu の通信は問題ありません。
この確認を行う理由は、
- Samba以前に、ネットワークとして届いているか
- 「つながらない原因」がSambaなのか、ネットワークなのか
を切り分けるためです。
エクスプローラーから共有フォルダにアクセスする
次に、Windowsのエクスプローラーから、Ubuntuの共有フォルダにアクセスします。
アドレスバーに、次のように入力します。
\\<UbuntuのIPアドレス>\share
ユーザー名とパスワードを求められたら、
- Ubuntuのユーザー名
smbpasswdで設定したパスワード
を入力します。
ここで共有フォルダが表示され、ファイルの読み書きができれば成功です。
なぜ「IPアドレス指定」で確認するのか
最初の確認では、ホスト名ではなくIPアドレス指定をおすすめします。
理由は次のとおりです。
- 名前解決の問題を切り分けられる
- Sambaの設定そのものが正しいか確認できる
- 「つながらない理由」を限定しやすい
まずは「IPアドレス指定なら確実につながる状態」を作ることが重要です。
資格情報が保存されているか確認する
一度アクセスすると、Windowsは資格情報を保存することがあります。
「資格情報マネージャー」を開き、
- Windows資格情報
- UbuntuのIPアドレスやホスト名
が登録されているか確認します。
誤った資格情報が残っていると、正しい設定をしてもアクセスできない場合があります。
Windows側で確認しておくポイント
ここまでの手順で確認しておきたいポイントをまとめます。
- ネットワークがプライベートになっている
- Ubuntuと同じネットワーク帯にいる
- ping が通る
- IPアドレス指定で共有フォルダにアクセスできる
- 正しい資格情報を使っている
ここまで確認できていれば、Windows側も正常な状態だと説明できます。
設定後に確認しておきたいポイントと安定運用の考え方
Ubuntu側とWindows側の設定が一通り終わったら、次は「実際の運用を想定した確認」を行います。
ここでの目的は、完璧にトラブルをなくすことではなく、何が起きているのかを自分で説明できる状態にすることです。
再起動後に確認すること
まずは、両方のPCを再起動したあとに、同じように共有フォルダへアクセスできるか確認します。
- Ubuntuを起動したあと、少し待ってからアクセスする
- Windows起動後、IPアドレス指定で共有にアクセスする
再起動直後につながらない場合でも、「Ubuntu側が起動途中ではないか」「サービスは動いているか」といった確認ポイントが頭に浮かべば問題ありません。
Ubuntuが起動していないときの挙動を理解する
Ubuntuの電源が入っていない状態では、Windowsから共有フォルダにアクセスできないのは正常な挙動です。
この状態で、
- ネットワークドライブの割り当てが切れる
- エラー表示が出る
といった挙動があっても、異常ではないと理解しておくことが大切です。
常時稼働のサーバーではなく、個人利用のUbuntu環境であることを前提に、無理のない使い方を選びます。
つながらないときの確認順を決めておく
もし共有フォルダにアクセスできない場合は、次の順番で確認します。
- Ubuntuは起動しているか
smbdサービスは動いているか- Windowsから ping が通るか
- IPアドレス指定でアクセスできるか
- 資格情報が正しいか
この順番を意識しておくだけで、「どこが原因なのか」を冷静に切り分けられるようになります。
「安定運用」の考え方
今回目指した安定運用とは、常に何も考えずにつながる状態ではありません。
- 再起動や環境変化があっても
- 何を確認すればよいか分かっていて
- 挙動に納得できる
この状態を、自分にとっての安定運用と考えています。
個人利用としての割り切り
Samba共有は、設定を突き詰めれば、より高度な構成も可能です。
ただ、個人利用では、
- 分かりにくい設定を増やさない
- 自分で把握できる範囲に留める
という割り切りが、長く使い続けるうえでは重要だと感じました。
今回の構成は、そのバランスを意識した落としどころです。
まとめ:Sambaを「理解して使える」状態にするために
この記事では、UbuntuとWindows11 HomeでSambaによるファイル共有を、イチから設定し直し、長期的に安心して使える構成を作ることを目的に、実際に行った手順と考え方をまとめてきました。
以前の設定でも、共有フォルダにアクセスでき、ファイルの読み書きはできていました。
それでも、
- 再起動後の挙動が分からない
- なぜ今つながっているのか説明できない
- トラブル時に切り分けできない
といった不安が残っていたのも事実です。
今回あらためて設定を見直したことで、
- Ubuntu側とWindows側の役割が整理できた
- どこを確認すればよいか分かるようになった
- 挙動に対して納得しながら使えるようになった
と感じています。
大切なのは、「とりあえずつながる設定」を作ることではなく、自分で説明できる状態にすることでした。
この記事の手順どおりに設定すれば、同じような環境でSamba共有を使っている方も、「なぜこの設定なのか」を理解しながら構築できるはずです。
すべてのトラブルをなくすことはできなくても、「落ち着いて確認し、原因を切り分けられる」、それが、個人利用における現実的な安定運用だと思います。
もし、「Sambaは使えているけれど、どこか不安が残る」と感じているなら、一度イチから設定を見直してみる価値はあるはずです。
この記録が、同じように悩んでいる方の助けになれば嬉しく思います。
